六弦と四人組の部屋〜ビートルズ奏法研究所

ビートルズ(The Beatles)の楽曲における、ギターでの奏法解析やコード進行の分析など。コピーバンドや、コード進行の勉強に役立ちます。

Abbey Road

Octopus's Garden

2018/07/10

リンゴの作った2曲のうちの一つにして、彼の最大の傑作。コード進行は非常にシンプルでありながら、凝ったコーラスワークやギターソロ部での転調などテクニカルな部分を含み、まったく飽きさせません。

コード進行

イントロ

N.C. B+5 E N.C. E C#m A B

A〜Bメロ

E C#m A B
E C#m A B
C#m B6 A B
E C#m A B E

ギターソロ

A F#m D E
A F#m D E A B

エンディング

A B C#m  (E?) A B C#m
A B E B E

基本的にはE(Imaj) - C#m(VIm) - A(IVmaj) - B7(V7)という極めてシンプルなコード進行の繰り返し。サビ部分のギターにはB6が含まれますので、演奏の際は注意。

ギターソロ部分はAメジャーに転調しますが、コード進行自体は同じ動きを取っています。ソロ部の最後にBを挿入することで強引にEメジャーに回帰。

ラストはA - B - C#mを繰り返しますが、1回目はベースがC#でなくEを弾いているので、完全にC#mと言えるかは微妙なところです。

動画

上がリード、下がバッキング。動画で撮るとなると、アルペジオし続ける下の方が難しかったです。

ジョン・パート(バッキング)

Aメロ・バッキング

Aメロ・バッキング


同じ形のアルペジオをひたすら繰り返す、アコギの3フィンガーのようなパターンですが、コーラスしながらピックで一曲弾き続けるのはかなり難儀です。練習するか最初から指で弾く練習をしても良いかもしれません。ジョンはこの時期3フィンガーをよく使っているので、ひょっとしてこれも指で弾いている可能性があります。

ギターソロ部・バッキング

ギターソロ部・バッキング


ちなみにギターソロ部のバックのみパターンが違い、こんな感じになっています。

注意すべき箇所

イントロ部のバッキング

イントロ部のバッキング


曲冒頭、16分音符のイントロに合わせて「ジャ・ジャン」と入るところ。1発目の音は普通のBではなく、1弦3fのGの音が鳴っています。コードネームはB+5にしていますが、クールな響きのものを選んだという感じでしょう。

Bメロ・バッキング

Bメロ・バッキング


Bメロのバッキング。基本的にコードを一発ずつ弾いているだけですが、2小節目4拍目はBやB7ではなく、1弦4fが鳴っているB6です。(G#m7onBとも捉えられます)この辺、ビートルズらしいコードの使い方ですね。

ジョージ・パート(リード)

全体的にかなり難しい。ビートルズの曲の中では地味ながらトップクラスにギターが目立つので、弾きこなすのはなかなか大変です。

イントロ

イントロ

イントロ


速すぎず遅すぎず、一番弾きにくい絶妙なテンポの16分音符の羅列。その上、レガートが多く、バッキングが誰もいないという、緊張する要素満載。ライブでやるならこのイントロはかなり練習して慣れておく必要がありそうです。

個人的には2音目の11fは中指、スライド後の2弦12fを人差し指がいいかなと思います。1小節目最後の13fは11fをチョーキングして出した方が雰囲気が近いですね。僕も動画ではそう弾いてます。上段から下段にかけて、ダブルノートを下からスライドしていますが、このスライドは無理してやらなくてもいいでしょうね。

原曲を聴くと、2段目に入った辺りからゆるやかに音量も落ちており、ピッキングを弱めにしていることが推察できます。ジョージの巧みな技が光ってますね。

オブリガード

曲中にはしばしば合いの手が登場しますが、どれも印象的なので出来れば完コピを狙いたいところ。特にバッキングパートと絡んだ1番終わりのフレーズ、2番Aメロで登場するフレーズは印象的。

フィル(1番サビ前)

フィル(1番サビ前)

フィル(2番Aメロ)

フィル(2番Aメロ)

フィル(1番終わり)

フィル(1番終わり)


この部分、原曲をさらっと聴いていると、リードギターのフィルとバッキングパートが連続しているように聞こえます(四角形で囲っている部分)。実際にはダブルノートのリードと、2弦開放から2fへハンマリングするバッキングパートが別々に鳴っています。ここはバッキングも注意しなければならないところ。

ソロ

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フレーズ自体はたいしたことないんですが、なんせ音域が高すぎて、フレットが狭いので弾きにくいです。レスポール系のミディアムスケールのギターでは指の太い人はけっこうきついんじゃないでしょうか。19fへのスライドが連発される部分が二箇所ありますが、フレットに引っかからないように、弦の上をしっかり這わせましょう。

4小節目の17fが続くところでは、小節の途中で人差し指から薬指に変えて、ポジションチェンジしているようです。

エンディング

スクリーンショット 2018-06-24 21.41.37
エンディングもイントロ同様緊張しそうな要素が満載です。歌の隙間に入るチョーキング混じりの歌うギターは、チョーキングの音程も含めて完コピを狙いたいですね。

ラストは他の楽器がみんないなくなりますが、リズムは続いているので、リズムを取りながら弾きましょう。ここでコケると終わりですよ!

まとめ

実はビートルズの中でもトップクラスに難しいリードギターが入っている曲で、難易度だけで言うと「While my guitar〜」とも張り合えるかもしれません。

「Let It Be」の映画ではこの曲を作っている過程が映し出されていますが、華麗に無視を食らっているポールとは裏腹に、ジョージの助力はかなり大きかったようです。リンゴの名曲として知られる一曲ですが、ジョージの会心のプレイが随所に散りばめられて、この曲に対する彼の意気込みが感じられますね。

-Abbey Road
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