六弦と四人組の部屋〜ビートルズ奏法研究所

ビートルズ(The Beatles)の楽曲における、ギターでの奏法解析やコード進行の分析など。コピーバンドや、コード進行の勉強に役立ちます。

Past Masters Vol.2

Day Tripper

2022/03/08

中期の代表曲にして、それまでになかったヘヴィなギターリフの作品。後にディープ・パープルが大胆に取り入れる手法の先駆けとも言えそうです。

コード進行

イントロ〜Aメロ

E7
E7
A7 E7

Bメロ

F#
A G# C#7 B7

間奏

B
B7 C#m7/B DM7/B EM7/B
F#m7/B B

イントロ〜AにかけてはE7とA7のブルース的進行。本編中にマイナーコードは一つも無いようで、よくこんな偏りまくった進行でここまで作ったなと思えるほど。

間奏は一転して凝っており、Bに転調してリフを3回繰り返し、その後楽器隊がBを弾き続けながらコーラスだけが上がっていくというもの。その上にギターソロが乗っているのですが、もの凄いアレンジです。

全体的に単純ではありますが、凝ったアレンジとリフをうまくいかして飽きないような構成に仕上げられている印象です。

イントロリフ〜Aメロ

イントロリフ

イントロリフ

この曲の顔。ここだけは覚えているという人も多いと思われます。2フレットが続くところは両方人差し指。4フレットは小指か薬指。この音と手前の2フレットのシの音は繋がって鳴っているようにも聞こえます。Aメロでは弦を一個下にずらしたAバージョンも登場。

Aメロ部

Aメロ部

Bメロ

パワーコードをハンマリングを交えて演奏。上にPMと書いていますが、これはブリッジミュートのこと。クランチぐらいの音でミュートをしっかり掛けて強めにピッキングすると原曲に近い感じになります。

Bメロ部

Bメロ部

間奏

間奏出だしのBリフ

間奏出だしのBリフ


曲中で一番難しいのがここのBに転調してのリフ。動画を見て確認したところ、タブ譜のポジションが正解のようです。ポール・マッカートニーのソロのライブでもこのポジショニングで弾いていますので、ここが当たりだとは思いますが、実際には開放弦を交えて弾いた方がそれっぽく聞こえます(下図)。どちらでやるか、御自由にどうぞ。開放弦を混ぜた方が若干難易度は落ちるかも。
Bリフ低ポジション

Bリフ低ポジション

ギターソロは出だしを中指でスタートします。Get Backソロの冒頭と同じ入り方。12フレットにスライドするところは薬指に。

ギターソロ

ギターソロ

ギターソロのバックに鳴り続けるコーラスは冒頭に書いたコード進行の通りで進行しているようです。

ちなみに音列は上から
ポール:レ#→ミ→ファ#→ソ#→ラ→シ
ジョージ:ラ→シ→ド#→レ#→ミ→ファ#
ジョン:ファ#→ソ#→ラ→シ→ド#→レ#

声を聴き取ると多分上からポール、ジョージ、ジョンだと思うのですが、ジョージとジョンのパートは逆かも。

ジョージのパートをやるとギターソロを弾くことになるので、これを弾きながらコーラスは結構きついものがあります。実質2声でやらざるを得ないと思います。

ちなみに、基本的にBしか弾いていないバックの演奏陣の中で、一本だけ低音でスケールを上昇しているギターがあります。1拍遅れて入ってくるベースみたいな音のギターで、結構ちゃんと聞こえるのですが、3本目のギターということになるので、通常バンドでのコピーではここは再現が難しいでしょう。

B7コードで始まるコーラスの最後はBで終わります。B自体がEに対するドミナント7thになっており、Eのリフに違和感なく戻っているのはこれもひとつの理由かと。

ジョンのギターはカポか

Eコード時に1弦2fのG#音が出ていることから、2カポ説があります。この時期に2fカポを多用してたことから信憑性はありますね。ちなみにライブでは普通のバレーコードでコードストロークしていますが、映像から察するにほとんどを6弦ルートのコードフォームで演奏しているようです。

まとめ

ロック色が強いのはリフ自体のインパクトに加え、ベースとのユニゾンで全編弾かれているというのもありそう。バンドでのコピーでは、このリフを弾きながら歌わなければならないポールの役をやる人が一人大変です。

ギター的にはわりと美味しいですが、「Octopus’s Garden」と並んで出だしが緊張して間違いやすい曲なので、メンタル面での強さが問われます(笑)

-Past Masters Vol.2
-