And I Love Her
同アルバム内でもパーカッションとガットギターが目立つ異色のナンバー。ポールのメロディメーカーぶりが遺憾なく発揮されており、シンプルなアレンジがそれを引き立てます。映画にも使われており、現在でも愛されるバラードの代表曲。
コード進行
イントロ
F#m | E6 |
Aメロ
F#m | C#m | F#m | C#m | ||||
F#m | C#m | A | B7 | ||||
E6 |
Bメロ
C#m | B | C#m | G#m | ||||
C#m | G#m | B | B7 |
ギターソロ〜最後のAメロ
Gm | Dm | Gm | Dm | ||||
Gm | Dm | Bb | C7 | ||||
F6 |
エンディング
Gm | F6 | ||||||
Gm | D |
メロディアスでよく練られた進行。サビで半音転調するところや、ラストがマイナーではなくメジャーキーに解決して終わるところなど、この時代の他曲と比べてもひときわクレバーな部分を感じさせます。この流れがRubber SoulのMichelleに続いていくんでしょう。
演奏的には6コードがミソ。わびしい雰囲気の漂う中、若干の丸さをこれで確保しています。
イントロ〜Aメロ
ジョージパートはイントロを弾く大切な役目があります。イントロは有名なフレーズで、色んなポジショニングが考えられますが、映画の中でのシーンからここと推測。
で、Aメロの1回目は佇んでいるだけなものの、2回目からはハイポジションでのアルペジオがスタートです。
下段はC#mの9f-9f-9fを人差し指セーハ、Aの9f-10f-9fで2弦に中指を追加し、B7の11f-10f-11fを小指-中指-薬指で押さえると楽。
こういうのってちゃんとコードを覚えておくと、後々の応用に大いにつながるので、ちゃんとしたフォームを把握しておくのをおすすめします。
AとB7はオープンコードのD、D7の形をずらしていったものです。C#m、F#mは基本の6弦ルート、5弦ルート。さすがにこれが分からないのは良くないと思いますので、ぜひ覚えておきましょう。
で、ジョンの方のパートは適当にストロークしているだけのようです。
F6は親指でルート(グレーで表記)を押さえてもいいですね。6コードはビートルズには多いので、丸暗記しといてもいいと思います。
Bメロ〜ギターソロ
Bメロはジョージパートは全音符でコードを弾いているのみ。BメロからAメロに帰る際、イントロフレーズを1回だけ弾きますが、最後の1音がAメロ冒頭のアルペジオ部に浸食しているため、アルペジオの最初の部分が弾かれていません。普通はオーバーダブするやろ…といったところですが、おおらかな時代です。
さて、ギターソロからは半音転調します。
メロディをなぞっているだけなので、特に難しいところはないですが、スライドは結構もたり気味に粘っこくやると良い感じに仕上がります。
それにしても、こんなガットギターでメロディを弾くだけの間奏が恐ろしく曲にハマっているのは、さすがの一言。
最後のAメロ〜エンディング
さいごのAメロは1フレット上げて同じアルペジオを弾くわけですが、ギターソロの最後の1音が干渉するので、1小節目が省かれています。Dm部分からのスタートですね。
エンディングも1フレットずらしてイントロと同じものを。よく聴くとイントロにはなかったスライドが追加されています。気分なのか狙っているのか…謎です。
転調後、キーはDマイナーになっていますが、最後のコードはDメジャー。少しだけ華やかな雰囲気を醸し出して終わります。同じような終わり方の曲に、ユーミンの「雨の街を」、スピッツの「ロビンソン」などがありますが、この曲はほとんど初じゃないでしょうか。
まとめ
さてさて、ギター、ベースとパーカッションしかない曲ですが、バンドの幅の広さが非常によく出ていると思います。独特のシンプルなアレンジが醸すわびしい感じが美しさにもなっており、メロディラインの綺麗さがわき上がってきます。
財津和夫氏がこれを聴いてビートルズに対する見方を変えたとかいう話がありましたが、初期のパンキッシュなサウンドの中に一つ入っているので、余計にインパクトがありますね。
ちなみに、ガットギターが使われた曲は前アルバム収録の「Till There Was You」とこれだけです。