Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band
Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band
世界初のコンセプトアルバムとも言われる「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」。そのタイトルナンバーは華やかなサウンドのロックナンバー。ブラスバンドを大胆に導入しているので、完全再現するにはキーボードが不可欠。
コード進行
イントロ〜Aメロ〜ブラスセクション
A | A7(#9) | C7 | G |
G7 | A7 | C7 | G7 | G7 | A7 | C7 | G7 |
A7 | C7 | G7 | C7 | G7 |
C | F | C | D | ||||
D |
Bメロ(We're Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band〜)
G | Bb | C | G | C | G | ||
G | Bb | C | G | A7 | D7 | ||
C | G | A | C | G |
Cメロ〜Dメロ(It's wonderful to be here〜)
C7 | F7 | C | D | ||||
D |
G7 | A7 | C7 | G7 | G7 | A7 | C7 | G7 |
A7 | C7 | G7 | |||||
C |
後ろで鳴り続けるアルペジオを軸としてコードを拾いましたが、概ねこんな感じになります。ストレートなロックの進行かと思いきや、かなり凝った作りになっており、さすがにポールを思わせます。
大きく分けると、ブラスの入る「ブラスセクション部」と「Cメロ部」が同じ。メロディが同じ「Aメロ」と「Dメロ」も同一部分とすることができますが、メロディが一緒なはずなのに、AメロがG7→Bb7、DメロがG7→A7と、違う進行になっているのが不思議。前者の方は跳躍がやや多い分、ダイナミックに聴かせられ、それに比べると後者の進行はやや落ち着いて聞こえます。
キーはGメジャーですが、イントロはA7から始まるし、色んな部分で不思議な進行です。
イントロ
イントロのみ3本のギターが入っています。中段のギターが一番目立つわけですが、実はこのギター、ドロップDチューニングです。最後のコードの部分でローDの音が聞こえます。とはいえ、この音はここ以外に出てこないので、レギュラーチューニングで普通のDのコードを弾いてもいいと思います。
下段のギターは2小節目に注意。#9の音が入っていますが、原曲でもかなり目立つ音です。これがあるためになんとも言えないサイケな感じが出ています。
一番上はどうでしょう。あまり聞こえませんね…。ベースみたいな音質で薄く入ってるのがこれですが、下に置いてる動画を見てもらえれば働きがよく分かると思います。とはいえ、普通のバンドでは真っ先に削られるのがこのギターでしょう。
Aメロ〜ブラスセクション
余り目立たなかった上段のギターはイントロと共に消え失せて、アルペジオとコードのバッキングだけが残ります。
イントロでリードギターを弾いていたギターは、歌が始まるとこちら。コードを2,4拍に思いっきり一音ずつ入れるだけの簡単なもの。ちゃんと音を切りましょう。
イントロで下段を担当したアルペジオギターはここ。リズムとコードだけ合わせて適当にやってるような感じ。まあ、実際にやるとしたら適当にやることになるでしょう。これは一応原曲通りの譜面なので、完コピを目指すならコピーしてみて下さい。このタブ譜ではG7のみハイコードで、A7とC7はオープンコードを使用しています。これが一番原曲の音列が作りやすいためです。
ブラスセクション部
後ろにホーン隊がいるなら任せますが、普通はギターで弾きたくもなるでしょう。
下の動画を見てもらえれば雰囲気もつかめるでしょうが、しっかり歪んだ音でサステインを確保すれば意外にも良い感じになります。上段と下段は自由に入れ替えても大丈夫です。最後の速いところは意外に難しいので、バンドでやる際には難しい下段のパートをより演奏に長けた人がやるのがいいと思います。
僕はここは演奏の際にはギターシンセサイザーでやっていました。二人がかりでやればかなり近い感じに合わせられます。
Bメロ(We're Sgt.Pepper's Lonely〜)
一番激しい、サビ的な部分がここ。ファズっぽい音でパワーコードの伴奏が登場しますが、アルペジオを弾いていたギターが消えるため、アルペジオやってた人が上段に行くといいと思います。
演奏はミュートしながらパワーコードを弾くだけなので、簡単な分、音質がモノを言います。ビートルズファンは初期の曲のイメージを強く持ちすぎて、歪んだ音の苦手なギタリストが多いんですが、この部分やイントロのメロディ部分についてはファズっぽいジャリジャリの成分がはっきり聞き取れるので、相当下品な音を出さないと雰囲気が出ません。
ちなみに、時折入るパワーコードの半音ずらしは結構印象的なので、できるだけやっておいた方がよいです。
下段は謎のフィルを弾いています。歌いながら弾くのは困難を極めるので、もしバンドでやるなら適当に削りながら弾いた方が良いです。
後半がこちら。演奏がストップしてブラスだけ「タ・タ・タ・ター」と残る部分はどちらかが担当します。簡単なパワーコードの人がやった方がいいですね。音も歪んでるし。
下段は途中でアルペジオに写ります。イントロやAメロで担当していたギターとは違い、明らかに攻撃的な音でやってるので、そのままの音質で良いでしょう。
Cメロ〜Dメロ(It's wonderful to be here〜)
後ろで鳴っているブラスセクション部。出だし3小節ぐらいの和音の動きは巧く聞き取れず、若干のアレンジが入っています。こちらも雰囲気は動画にてどうぞ。
この後はエンディング部のDメロですが…
上段のリードギターはイントロと同じ歪んだ音でコードトーンを分けてメロディ。下段のアルペジオは相変わらずの適当パターン。こちらも原曲通りに採譜しているので、もし完コピを目指すならこのままやってみてください。
そしてエンディングですが、ジョージのたどたどしい速弾きが聴けます。正直ボーカルとSEに紛れてよく聞こえませんので、出だしの10f-12fのトリルと、最後の7f-5f-7f-5f-3fからの二拍だけをやってあとは何もやってなくてもそんなに違和感は出ないでしょう。
動画
紹介してきた譜面を完全に演奏した動画がこちら。ほぼ原曲通りになっているのが聴いて分かると思います。
まとめ
サウンドからギターのラインまで地味に凝っているので、採譜してみると色々と発見がありました。世紀の名盤とされ、魅力的な楽曲が多いアルバムですが、バンドでやるには困難なものも多いです。この曲はブラス部だけ何とかなればやれるので、コピーバンドをされている方は一度やってみてはいかがでしょうか。この後の「With a little help from my friends」はコピーしやすいので、まとめてやると良い感じです。
このアルバムは個人的には他のに比べて聴いている回数は落ちます。ロバート・フリップやブライアン・メイなど、多数のミュージシャンに影響を与えた最高の名盤とされますが、後追いにはその凄さがあまり分からないのも何というか、その時代を生きていない以上、仕方がないのかなという感じです。