And Your Bird Can Sing
ポールのバラードが映えるリボルバーの中にあって、見事なスパイスとしてエッジの効いたギターの音色が飛んできます。作曲者であるジョン本人は至って気に入っていない様子ですが、ファンには非常に人気のある一曲です。リードギターを重ねてツインでハモらせるという発想は当時あまりなく、この曲が初だったのではないかという疑惑(?)もあるようです。
コード進行
イントロ
E |
Aメロ
E | |||||||
F#m | A | E |
Bメロ
G#m | G#mM7/G | B/F# | C#/F | ||||
E | F#m | B |
間奏
E | |||||||
F#m | A | E |
基本的にはEを基調としたワンコードに少し違うものが入るというシンプルなものですが、特筆すべきはBメロ。コード進行はポールのミッシェルに影響を受けたかのような綺麗な半音下降を描いています。コードから作ったと思しきメロディよりも印象的なのは、バックのツインリードでしょう。ここはアコギ1本などで演奏すると、弾きにくいキーともあいまってかなり難しいですが、ジョンは伴奏ではシンプルに弾いているようです。
動画
間奏からエンディングへ行って終わってます。全て1本でやってるものもだいぶ前に作りましたが、それは下の方で。
リードギター・イントロ
歌以上に印象に残るイントロ。let ringの詳細は後ほどの間奏パートで。
Aメロのつなぎ部分でこんなフレーズが出てきます。さらっと入ってますが、かっこいいですね。
リードギター・Bメロ
さて、ここからが半音下降の登場です。コード進行は今となってはよくあるものですが、この上にリードギターでツインリードのハーモニーを乗せるなどというのは、この曲以外にはあまり見たことがありません。
ギター1(上パート)
上は最初の3小節、最高音が半音ずつ下がります。5小節目からはセーハでまとめて弾いてしまわないように、注意が必要。セーハでまとめて弾くとアルペジオのように音と音が重なってしまい、綺麗に聞こえなくなります。歪んだ音だとなおさら。
ここは難しいですが、音を一個ずつ切っていきましょう。イーグルスのHotel Californiaやディープ・パープルのBurnなどで見られるパターンですが、いずれも音は一音ずつしっかり切られています。
ギター2(下パート)
下パートは最初3小節は全部同じ音列です。4小節目からは上より難しいでしょう。4小節目が結構めんどくさい運指であり、5小節目からも音を切っていくのが上よりも難しいです。4小節目の最後の音は小指か薬指で。
リードギター・間奏
イントロと同じ音列がフルサイズで出てくる間奏。上パートに少し仕掛けがしてあるようです。
ギター1(上パート)
リードギターを弾き慣れた人なら音列自体は大して難しくありません。原曲のように聞かせるポイントは7fの音を出しっぱなしにするというところにあります。タブ譜のピンクの丸で囲ってある音がしばらく鳴り続けているようで、どうも押さえたまま次の音を弾いているようです。下段にも同じようなところがありますが、こちらは1、2弦をセーハして弾くと近い感じになります(動画参照)。
運指としては不自然なので、7fにカポを付けたりしてみましたが、他の所がうまく弾けず、通常の状態で押さえたまま弾くという結論に至りました。
ラストのチョーキングは普通なら1音上げますが、原曲は半音ぐらいしか上がっていません。意図的にやってるというより、こうなってしまっただけでしょう。
ギター2(下パート)
下パートはわりとシンプルです。4小節目の最初の3弦4fは弾いてすぐ若干下にスライドダウンしています。上パートはチョーキングしていても下はしていなかったり、音の出し方がまちまちなのは、ツインリードというものがまともに存在しなかった当時の背景が窺えます。
バッキング
ジョンが弾いているとされています。基本的には4分音符を軸に「チャッ・チャッ・チャッ・チャッ」と鳴らしている感じですが、コードはカポ2fでDにしています。
D | |||||||
Em | A | D | |||||
F#m | A | B7 | |||||
D | Em | A |
これが恐らくバッキングとして弾いているコード。上2段がAメロ、下2段がBメロ。Bメロの半音下降はベースとリードギターに任せて、自分は同じコードを弾いているようです。
バンドで再現するために
4人編成のバンドで再現を試みようとすると、Bメロで詰まってしまいます。
イントロと間奏はジョンとジョージの二人がギターでハモれば良いとして、Bメロはジョン役の人はリードボーカルを取っており、複雑なメロディを弾きながらアレを歌うのは至難の業だからです。対処としては、意地で歌いながら弾く練習をするか、ハモリを諦めて1本でやるか、ジョージ役の人が一人で二人分弾くか、の3点が挙げられます。僕が実際にやっていたのは3番目の一人で二人分です。
これを見れば強ち不可能では無さそうに見えると思います。動画では間奏も全部やってますが、これはさすがに難しすぎますし、イントロや間奏部は歌わなくて良いので弾けます。Bメロの部分はそんなに丁寧に音が出なくても大丈夫なので、気合いでやってみる価値はありますよ。
まとめ
ギター弾きのビートルズファンなら、大抵一回はやったことがある曲でしょうが、一人で再現できないのが悲しいところです。興味のある人は一度多重録音で作ってみると面白いですよ。
コーラスも良い感じに映えて、キャッチーで軽快なメロディもあって、バンドでやるとステージ映えする一曲なので、Bメロ部を何とかして是非やってみることをおすすめします。5人編成だと楽勝ですね。下段をキーボードに任せて、アナログシンセみたいなギターっぽい音でやるといいんじゃないでしょうか。