六弦と四人組の部屋〜ビートルズ奏法研究所

ビートルズ(The Beatles)の楽曲における、ギターでの奏法解析やコード進行の分析など。コピーバンドや、コード進行の勉強に役立ちます。

Abbey Road

Something

2017/10/05

ジョージ作、不世出の名曲。アビーロードでのジョージは神がかっているとよく言われますが、ついにアルバムを代表する一曲を書き上げるに至りました。

最後まで裏方に甘んじた男が、バンドの消滅間際で溢れる才能を解き放ちました。しかし、この新境地は彼のソロアルバム「All Things Must Pass」にそのまま引き継がれています。

コード進行

Aメロ、ギターソロ

C CM7 C7 F F/E
D7 G  Am G/B Am AmM7 Am7 D
F Eb  G/D

Bメロ

A C#m/G# F#m F#m/E D G A
A C#m/G# F#m F#m/E D G C

今となっては王道のバラード進行ですが、見事に曲と調和した完璧な進行です。出だしのC-CM7-C7を皮切りに、半音下降進行(クリシェ)がいたるところで使用され、曲の美しさを際立たせています。「I don't wanna leave her now〜」のAmよりのクリシェは美しいという他ないですね。

Bメロはイントロのフレーズを経てAに転調、一気に曲を高みに舞い上げて、劇的なメロディに繋いでます。CよりAの転調はAマイナーからAメジャーとも言えるわけで、同主調の関係にあり、転調のパターンとしては一般的。ここまで効果的に使われている曲はあまりないですけどね。「While My Guitar〜」も同じ転調をするので、ジョージの得意技だったのかも。

イントロのF-Eb-Gという進行も良いですね。Ebが鮮やかなアクセントになって、良い働きをしています。

イントロ〜Aメロ

イントロ

イントロ

イントロはこんなフレーズ。チョーキングは半音なのか全音なのか、いまいちよく分からない高さになってます。しかも、それが独特の味を出しているということは、実際に全音チョーキングで弾くと妙に味気なくなってしまうところからもわかります。中途半端に上げましょう。

Aメロはギターをあまり弾くところがありません。3回出てくるAメロは徐々に演奏が厚くなりますが、後半になってもストリングスが幅を効かせてくるだけで、ギター自体は静かなもの。コードを必要最低限弾いてるだけという印象です。3回目はちょっとストロークしてたかな。

そんな中「something in the way she wooes me」と歌った後の以下のフレーズは外せません。

すばらしいオブリガード!

すばらしいオブリガード!

ジョージのセンスが最大限発揮されたオブリ。ここにこれがあるかないかでえらい差です。さすがは10年もバンドで裏方に徹してきただけあって、ツボの押さえ方を心得ているというか。

Bメロ

ギターはあまり聞こえませんが、曲調的にも普通におおげさなストロークをして構わないでしょう。Aからの半音下降ユニゾンの部分はユニゾンしてもいいし、Aコードを一発弾いて伸ばしておいても良いと思います。下の譜面はユニゾンした場合のもの。

印象的なユニゾンのフィル

印象的なユニゾンのフィル

二度目はAじゃなくてC(譜面右側)ですが、こちらはユニゾンすると音域が足りなくなります。ポールがソロコンサートで最近この曲をやってますが、ギターは途中でオクターブ上がってますね。この譜面では最後の2音でオクターブ上がってます。

ソロ

ギターソロ

ギターソロ

ジョージの一世一代の名演。ビートルズ史上でも最高のソロでしょう。情感たっぷりに弾かないとだめですが、最初はさらっとはいります。そこからやや盛り上げますが、16分音符のスライドやハンマリングの音はあくまでも弱く。全体的には4小節目あたりをピークに持ってきて、そこから音域が下がった辺りで少しトーンダウン。

最後の高速チョーキングの繰り返しは曲を聴いてニュアンスを似せるのが一番早道です。

その他

コピーバンドではギターソロを弾いて、そのまま歌わねばなりません。歌もさらっと歌っているようでいて情感豊かなので、ニュアンスを出すのが難しいです。僕は歌は専門外なので何とも言えませんが、ずいぶんと苦労しました。

うまくギターソロで流れを持ってこれると、その後3番の「Something in the way, she knows」から上にハモリが入った瞬間、とても気持ちよいですよ。

まとめ

ジョージのファンならずとも、ビートルズファンのギター弾きなら、このソロは一度はやっておくべきでしょう。スケール的には単なるペンタトニックなんですが、この音列のカラフルさはすごい。

マイケル・ジャクソンがこの曲をジョン&ポールの作だと思い込んでいたという話もあるぐらいですが、それはそのまま曲の完成度の高さを物語ります。今ではすっかりカバー曲の常連になってしまいました。

この曲のプロモは当時のメンバーの彼女や奥さんが登場しますが、何だか逆に悲しさをそそるんですよね。アンソロジーの見すぎかな。

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