All My Loving
2019/05/21
ポール初期の代表曲。曲は完璧な出来映えで、皮肉屋のジョン・レノンをして「悔しいが素晴らしい曲、俺の曲じゃないのが残念」と言わしめるほど。ただ、その後で彼らしく「でも俺の弾いたバッキングは最高だ」と付け加えています。
作曲者のポールはこの曲を大変気に入っているようで、ウイングス時代を経て、今でもライブで取り上げ続けています。
コード進行
Aメロ
F#m | B7 | E | C#m | ||||
A | F#m | D | B7 | ||||
F#m | B7 | E | C#m | ||||
A | B | E |
Bメロ
C#m | C#mM7 | E | |||||
C#m | C#mM7 | E |
ギターソロ
A7 | E | ||||||
F#m | E |
メロディが先行し、いきなりIImからはじまるという、それまでのビートルズにはあまり見られなかった発想の曲。
マイナーから始まりImajに落ち着くという点では「She Loves You」や「It Won’t Be Long」と同じような感じですが、この曲の場合、サビ始まりのインパクトを狙った両曲とは少し違い、Eに落ち着くまでに長いコード進行を経由するので、よりポップで作り込んだ印象を受けます。
それにしても、BメロのmM7の使い方はさすがです。「From Me To You」のエンディングでもうまい使われ方をしていますが、このコードはジョンがよく使うaug並みに印象的に使われてます。
Aメロ
ジョン・レノン自画自賛のスーパーバッキング。シャッフルの軽快なノリに合わせて、3連で刻みまくるだけですが、速さがかなりなので、苦労すること必至。3連はただでさえ取りにくいので、曲に合わせて無理矢理適当に弾くよりは、丁寧にテンポを落として練習することをおすすめします(下記参照)。
コードの押さえ方はライブを参考にすると、ほぼタブ譜の通りのようです。ハイコードのDとEについては、Dの形を人セーハ+中で押さえた上に、4弦を薬指、5弦ルートを小指で押さえるというもの。正直かなりきついので、小指は削ってしまっても良いかもしれません。原曲ではコード移動が激しい部分において、切替の際に開放弦の音が混じっているのがはっきり聞こえます。
ジョージはシャッフルのウラの部分だけを丹念に弾いており、ライブでははっきりと聞こえるものの、原曲ではほとんど聞こえません。
3連符を攻略する
3連が弾きにくい理由は主に二つあって、一つ目が拍を奇数で埋めていく難しさ、もう一つが拍毎にダウンとアップが入れ替わるところです。
完璧な攻略を目指すなら、急がず丹念にやるしかないです。メトロノームを遅めに設定して、しっかり拍のアタマを理解しながら弾く練習をします。右手のダウンアップにとらわれないリズム感を養うため、弾きながら足でスタンピングでも出来れば最高です。
テンポ100ぐらいで出来れば原曲の速さでも何とかなるでしょう。
Bメロ
クリシェラインが目立つコード進行。C#mM7のあとにC#m7に行かないのは一つポイント。ここのEコードもAメロでのものと同じ形が使われています。
ギターソロ
ソロ本編
出だしの低音弦でのピックアップ部は、ライブを見ると左手は親指で弾いています。その後はジョージお得意のチェット・アトキンス系ピック+中指パターン。低い方をピック、高い方を中指でつまむように弾きます。このような6度音程は、同じフレットか一つずれたフレット同士を1,3弦、あるいは2,4弦で弾くのが普通ですが、下段1小節目では少し違う動きをしている箇所があるので注意。横に移動している箇所以外は基本的にはコードを押さえたまま弾いているようです。
ライブでは一番最後の小節から中指を使わずピックオンリーに回帰。このフレーズはこの曲でのお決まりで、ライブを見ると歌中でもEが出てくる度にこれを弾いています。
ソロバッキング
歌のバックとは少し違うコード進行が付けられたソロのバッキング。ポイントは1小節目がA7であるところでしょう。リズムはアドリブだと思うんですが、この通り弾くと、原曲に近づけることができます。
まとめ
コーラスもジョージとポールがハモったり、なかなか他にはない面白い要素が多く、バンドでやるのもなかなか楽しい一曲です。
ギターではギターソロ以上に目立つジョンのバッキングを練習する人が多く、3連を高速でストロークする難しさを感じます。このようなストロークの曲はビートルズ以外を見渡してもあまり例がなく、僕も知る限りこの曲ぐらいです。低音だけで刻んでいるハードロックの曲なんかは結構多いんですけどね。